パーチェス・プライス・アロケーション
PPA(Purchase Price Allocation)とは、「企業結合会計に関する会計基準」や国際財務報告基準(IFRS)3号「Business Combinations」等に規定される取得原価の配分のことを言います。
企業結合の取得企業は、被取得企業から受け入れた資産及び引き受けた負債のうち、企業結合日時点の識別可能資産・負債を、企業結合日時点の時価を基礎として評価し、制度会計上買収に係る取得原価を当該資産負債に配分することが求められます。
その際、『受け入れた資産に法律上の権利など分離して譲渡可能な無形資産が含まれる場合には、当該無形資産は識別可能なものとして取り扱う』とされており、被取得企業が個別財務諸表上で計上してなかった無形資産についても、識別可能資産として計上することが必要となります。IFRSにおいても、企業結合に際して取得した無形資産は、無形資産の当初認識の2要件(経済的便益流入の蓋然性・測定の信頼性)を常に満たすものと前提がおかれているため、同様です。
PPAの結果、取得原価と取得原価の配分額との差額はのれんとして認識されます。
PPAにおける無形資産の識別は、会計基準の適用に係る専門的な判断が必要ですが、一般的にはM&A取引における識別可能な資産には、何らかの無形資産が存在するものと想定されます。
IFRSにおける例示
マーケティング関連資産:商標・商号、インターネットのドメイン名、非競合契約、等
顧客関連資産:注文または製品受注残高、顧客契約、顧客リスト、等
芸術関連資産:書籍・雑誌等その他の文学作品、音楽作品、絵画・写真、映画・音楽テープ等のコンテンツ、等
契約関連資産:ロイヤリティ、雇用契約、リース契約、マネージメントサービス契約、フランチャイズ契約、等
技術関連資産:特許、ソフトウェア、データベース、製法等取引上の機密、等
実務的には、会計監査人との事前相談を行うことが多く、無形資産認識前ののれんの暫定額が、取引規模や取得会社の事業規模に比して少額な場合、まだ事業実績の乏しいベンチャー企業・新規事業の買収でのれんの占める割合が大きいことが明白な場合を除けば、概ね無形資産が識別されうるものとして、専門家の関与・評価が必要とされることになります。
Next D の価値評価サービス
PPAに係るサービスでは、制度会計への適正な情報提供を目的として、主に無形資産の評価に関する下記の業務を提供しています。
- 無形資産の識別の検討に係るサポート
- 無形資産の評価(測定)(詳細はこちら)
PPAによる無形資産評価は会計目的での評価であり、会計監査人による財務諸表監査の対象になります。Next D では、認識した無形資産の耐用年数(償却年数)に係るお客様の意思決定や監査対応のサポートも合わせて実施いたします。
Next D では、クロージング前のディール期間中に実施する、通称「プレPPA」にも対応しておりますが、クロージング前においては評価に必要な資料が限定的にしか開示されないことも多いため、データにフルアクセスできる友好的な相対取引の場合に実施することを推奨しています。
日本基準の他に、米国基準および国際財務報告基準(IFRS)に基づくサービスも対応可能です。